認知症の高齢者は、厚生労働省「認知症施策推進大綱」(2019年策定)の推計で2025年に約700万人。65歳以上のおよそ5人に1人がなんらかの認知機能低下を抱えている計算です。在宅での介護に限界を感じ、「もう自分たちだけでは難しい」と施設入居を考え始めるご家族がハピネス老人ホーム紹介センターの相談窓口にも日々いらっしゃいます。ただ、認知症の方の施設選びには一般的な老人ホーム探しとは違う視点が求められます。
認知症でも入居できる施設は3タイプ
グループホーム——少人数の「暮らし」で残存機能を守る
介護保険法第8条第20項に規定される「認知症対応型共同生活介護」がグループホームです。認知症の診断を受けた要支援2以上の方が対象で、1ユニット5〜9人。調理や洗濯といった家事をスタッフと一緒に行う中で、できることを維持する——これがグループホーム最大の特長です。大阪府内の月額相場は12万〜18万円ほど。
一つ見落としがちなのが、グループホームは地域密着型サービスだということ。つまり、施設がある市区町村に住民票を持つ方しか入居できません。大阪市にお住まいの方が堺市のグループホームに入りたいと思っても、原則として不可。この制限を知らずに候補を絞ると、あとから「入れない」と気づくことになります。
認知症も受け入れ可能な介護付き有料老人ホーム
24時間の介護体制と看護師常駐を備えた有料老人ホームの多くは、認知症の方も受け入れています。医療的ケア(インスリン注射やたん吸引など)が必要な場合にも対応できる施設があるのは大きなメリット。月額費用は15万〜30万円と幅がありますが、見るべきはケアの内容です。「認知症の方を受け入れている」と「認知症ケアに力を入れている」はまったく別の話。ここの見極めが施設選びの成否を分けます。
特養の認知症専門フロアという選択肢
要介護3以上であれば、特別養護老人ホームにも認知症の方は入居できます。月額5万〜15万円と費用負担は最小ですが、やはり待機期間の長さが壁になります。ところが近年、認知症専門フロアやユニットを設ける特養が増えてきました。こうした施設に出会えれば、費用を抑えながら手厚い認知症ケアを受けられる可能性があります。
ケアの質を見分ける2つのキーワード
「ユニットケア」は環境ストレスを減らせるか
10人前後の少人数グループで生活を送るユニットケア。認知症の方は環境の変化に非常に敏感で、大部屋で大人数と過ごすと不安や混乱が強まりやすいとされています。ユニットケアを導入している施設では、顔なじみのスタッフ・入居者と過ごすことで安心感が生まれ、行動・心理症状(BPSD)が落ち着くケースも報告されています。大規模施設であっても「ユニットケアを導入しているかどうか」は必ず確認してください。
パーソンセンタードケア——「その人」を見るケアの理念
英国ブラッドフォード大学のトム・キットウッド教授が1990年代に提唱したこの概念は、認知症の方を「病気の人」ではなく「一人の人間」として尊重し、その人の人生観・生活歴・好みを出発点にケアを組み立てる考え方です。実際に見学されたご家族からは、「スタッフが入居者さんの名前だけでなく、昔の趣味や好きな食べ物まで知っていて驚いた」という声を聞くこともあります。施設見学時に「ケアの理念は何ですか」と聞いてみてください。具体的な言葉で答えられる施設は信頼できます。
認知症の方の施設見学で見落とせないこと
- スタッフの声かけの仕方:視線を合わせ、穏やかなトーンで話しかけているか。上から命令口調になっていないか
- 居室の安全設計:転倒防止の手すり、ベッド転落防止柵、角を丸くした家具など
- 徘徊への備え:出入口のセンサー、GPS端末の貸出し、施設内の安全な回遊動線。「閉じ込める」のではなく「安全に動ける」仕組みが理想です
- 身体拘束ゼロへの取り組み:平成30年度(2018年)介護報酬改定で「身体拘束廃止未実施減算」が全施設に拡大適用されました。方針を明確に語れるかどうか、直接確認しましょう
- 入居者の表情と過ごし方:リビングで穏やかに談笑している方が多いか、それとも全員が黙ってテレビを見ているか。小さな違いが、ケアの質をそのまま映します
2019年に閣議決定された「認知症施策推進大綱」は、「共生」と「予防」の2本柱で、認知症の方が尊厳を持って暮らせる社会づくりを掲げています。施設を選ぶ際にも、この方向性に沿った取り組みを行っているかどうかを一つの物差しにしてみてください。
認知症のご家族の施設選びは、専門知識が欠かせません。ハピネス老人ホーム紹介センター大阪では、認知症ケアに力を入れている施設の情報も豊富にご用意しています。