TikTokと介護。一見すると結びつかない組み合わせに思えるかもしれません。しかし、ショート動画を活用する介護施設は着実に増えています。総務省「令和5年通信利用動向調査」によると、TikTokの利用率は全年代で32.5%。10〜20代では70%を超え、就職活動の情報源としてSNSを利用する若者は年々増加しています。介護業界が慢性的に抱える人手不足の解消に、ショート動画は想像以上に効果的なツールです。
なぜショート動画が介護業界と相性がいいのか
「百聞は一見にしかず」を15秒で実現できる
介護の仕事に対して、世間には「きつい」「暗い」「大変そう」というイメージが根強く残っています。テキストや写真でそれを覆すのは容易ではありません。ところが、動画であれば話は変わります。スタッフが利用者と笑顔で会話している場面、みんなで体操をしている風景、手作りの飾り付けを楽しんでいる様子——わずか15〜60秒の動画が、言葉では伝えきれないリアルな雰囲気を届けてくれます。
アルゴリズムがフォロワー数に依存しない
TikTokの最大の特徴は、フォロワーが0人でもバズる可能性があるという点です。InstagramやX(旧Twitter)は既存のフォロワー数がリーチに大きく影響しますが、TikTokは動画の質と視聴完了率でおすすめに表示されるかどうかが決まります。つまり、始めたばかりの介護施設アカウントでも、いきなり数万回再生される可能性があるのです。
採用と集客を同時に狙える
ショート動画は「採用向け」と「集客向け」を兼ねることができます。施設の日常風景を発信すれば、求職者には「こんな職場で働いてみたい」というメッセージに、入居を検討するご家族には「こんな雰囲気の施設なんだ」という安心材料になります。一つのコンテンツで二つの目的を達成できる、費用対効果の高い手法です。
介護施設で効果が出るショート動画の企画
再生回数が伸びやすい動画パターン
介護業界のショート動画で特に反応が良いジャンルは、以下の5つです。
- 「介護士の1日」密着系——出勤から退勤までをテンポよくまとめる。リアルなルーティンが求職者の関心を引く
- ビフォーアフター系——施設のリノベーション、季節の模様替え、イベントの準備風景。変化がわかる動画は最後まで見られやすい
- 利用者との心温まるエピソード——プライバシーに十分配慮したうえで、ご本人・ご家族の了承を得て撮影。感動系コンテンツはシェアされやすい
- 介護技術の解説——正しい移乗介助の方法、ベッドメイキングのコツなど。教育系コンテンツは保存率が高い
- スタッフのオフショット——休憩中の様子、チームでの記念写真。人間味が伝わり、親近感を生む
撮影の準備と注意点
特別な機材は不要です。スマートフォン1台あれば十分ですが、以下のポイントを押さえると動画の質が格段に上がります。
- 縦型で撮影する——TikTok・Instagramリール・YouTubeショーツはすべて縦型(9:16)が基本
- 最初の2秒で視聴者を引きつける——冒頭に「驚き」や「疑問」を持ってくる。スクロールされる前に興味を持たせることが鍵
- BGMはトレンドを押さえる——TikTokで流行中の音源を使うと、おすすめに表示されやすくなる
- 字幕を必ず入れる——音声なしで視聴する人が約80%。字幕がなければ内容が伝わらない
採用に活用する具体的な方法
求人広告費を削減できる可能性
介護業界の求人広告費は決して安くありません。大手求人サイトへの掲載料は月額10万〜40万円、人材紹介会社を利用すれば採用1件あたり年収の20〜30%(50万〜100万円)が相場です。一方、TikTokの運用コストは基本的にゼロ。スタッフが業務の合間に撮影・編集するだけで、求人媒体に匹敵するリーチを得られる可能性があります。
もちろん、すぐに採用につながるとは限りません。しかし、動画を通じて施設の雰囲気や働く人の人柄を知ってもらうことで、応募時のミスマッチを減らし、入社後の定着率を向上させる効果が期待できます。採用にかかるトータルコストで考えれば、十分に投資対効果のある施策です。
他のSNSへの展開も視野に入れる
TikTokで制作した動画は、Instagramリール、YouTubeショーツにもそのまま転用できます。1本の動画を3つのプラットフォームに投稿するだけで、リーチは単純計算で3倍。Instagram運用の基本については介護施設のInstagram運用の記事も参考にしてください。また、SNS全般のマーケティング戦略に関心がある方はWEB対策事業ページもご覧ください。
運用開始前に整備すべきこと
プライバシーポリシーとガイドラインの策定
動画は写真以上に情報量が多いため、プライバシーへの配慮はより慎重に行う必要があります。個人情報保護法の遵守はもちろん、施設独自のSNSガイドラインを策定しておくことを推奨します。具体的には、以下の項目を明文化してください。
- 利用者の撮影に関する同意取得のフローと書面テンプレート
- 投稿前の承認プロセス(誰がチェックし、誰が最終承認するか)
- NGとする撮影対象やシーン(医療行為、入浴介助など)
- スタッフ個人アカウントでの業務関連投稿のルール
継続できる運用体制を作る
動画投稿は、始めることよりも続けることのほうが難しいものです。理想は週2〜3本の投稿ですが、まずは週1本からで構いません。撮影担当と編集担当を分ける、月初に1か月分の企画を決めておく、撮影は15分以内に終わらせる——こうしたルールを設けることで、日々の業務に追われる中でも運用を続けやすくなります。
介護業界のショート動画活用は、まだ黎明期にあります。だからこそ、今始めることに大きな先行者優位があるのです。競合がまだ少ない今のうちにアカウントを育てておけば、数年後には地域で確固たる認知度を築いている——そんな未来は十分に現実的です。動画制作のプロの力を借りたい方は制作事業ページもあわせてご確認ください。
株式会社イデアの制作事業「クランクアップ」では、介護施設向けの動画制作・SNS運用支援を行っています。「動画を作りたいけど何から始めればいいかわからない」「プロのクオリティで施設の魅力を伝えたい」——そんなご要望がありましたら、ぜひお問い合わせください。